2016年8月18日 更新

【遺言書での生命保険の受取人】指定した場合と特別受益とは

遺言書によって生命保険の受取人を指定した場合は、その効力は認められることになっています。ですが、相続資産に占める割合が大きい場合の生命保険は、受取人だけが利益を得てしまいます。そういった時はどうなるのでしょうか?

遺言書による生命保険

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遺言者が自分を被保険者として生命保険に加入していると、遺言者の死亡により、指定した受取人に保険会社から死亡保険金が支払われます。一般に、死亡保険金受取人は、相続人の中から指定されています。しかし、この死亡保険金は、保険金受取人の固有財産となり、相続時における遺産分割の対象にはなりません。
生命保険金の受取人が遺言書によって指定されている場合、
受取人の変更はすることが出来ず、遺産分割の対象にはなりません。
ですので、法定相続人の方が受取人になっている場合、
生命保険の受益はその人だけのものとなりますね。

生命保険が相続資産のほとんどを占める場合

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ただ、もし異常に生命保険金が多く、他の財産が少ない場合があったとします。
これではあまりにも、分割する相続財産が少なくなり、不公平すぎます。

このような場合には、固有の財産になると考えると、バランスが崩れすぎるということで「特別受益」つまり、ある種の贈与として考えて、相続財産に加える場合があります。
生命保険金が相続資産のほとんどを占めてしまう場合は、
受取人以外の方には特別受益が認められる可能性があります。

特別受益について

相続人の中に、被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいた場合、他の相続人との間に不公平が生じるため、この不公平を是正するための制度になります。その受けた利益のことを「特別受益」といいます。

被相続人から「特別受益」を受けていると認められた場合には、まず被相続人の財産にその贈与の価額を加えたものを相続財産として計算し、「特別受益」を受けた共同相続人は、法定相続分(または遺言で定められた相続分)から贈与の額を控除されます。
これは、共同相続人間の公平を図るための制度です。
特別受益とは、被相続人が特定の相続人に対して生前に贈与された金額などをいいます。
例えば、長男が会社を立ち上げるのでお金を生前に渡している場合などです。
通常は生命保険は特別受益の対象になりませんが、相続資産に占める割合が大きい場合に関しては、
生命保険でも当てはめることが出来るということになります。

判例について

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特別受益になることを認めた例

どのような場合に、相続人間の不公平が是認できないほどの特段の事情になるのかについては、その後、
①「生命保険金の受取人名義が途中で変更になっているが、変更の理由が明確ではない、変更の時期も不自然、新受取人は被相続人と同居していない、受取人が受け取る保険金額は合計1億0129万円、それに対し遺産の総額は1億0134万円」という事案で、その生命保険金は特別受益になるとの裁判例(東京高決平17.10.27)があります。このケースで、妻が受領した生命保険金が特別受益とされると、妻は、相続財産の中から分割を受けるもの(具体的相続分)はほぼ0になってしまいます。

②妻が取得する死亡保険金等の合計額は約5200万円であるのに対し、相続開始時の遺産価額の61パーセントを占めること、被相続人と妻との婚姻期間が3年5か月程度であることなどを総合的に考慮して、死亡保険金は特別受益になるとの裁判例(名古屋高平決18.3.27)もあります。

生命保険金が特別受益にならないとされた否定例 「死亡保険金が782万円、相続財産が6997万円の事案」では、保険金は特別受益とは言えない(最決平16.10.29)。
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